「うちの子はひらめきが足りないので算数の成績がいまいちだ」「基本問題はできるようになったが応用問題になるとひらめき不足を感じる」…どちらも比較的良く見聞きする事案です。果たして本当に算数に『ひらめき』は必要なのか?? について今回は書いていきます。
ただ,このように必要か否か…と書くと,0か100かを決めたがる風潮がありますが,当然そのような簡単な話ではありません。そういう意味では0ではない以上,必要である,と言えます。ですが,それは限りなく0に近い,ということを今回は取り上げたいと思います。
一般的にひらめきというと,頭の上に電球がパッとついて答えが空から降ってくる…というような映像を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。このような経験をしたことがない人が多数だとは思いますが,実は他人に説明できるような形では理解できない思考の流れであるが故に「ひらめき」という言葉で処理しているに過ぎないのです。
ここで大事なことは,それは能力の優劣ではない,ということです。
まず,前提として,人によって思考の方法くせはそれぞれ異なります。大きく分けると,
A:先に答になるものがぼんやりと思いつき,それが正しいことを検証していくタイプ。
B:今わかっていることを積み重ねた先に結論として答にたどり着くタイプ。
Aは天才肌のイメージですね。このような考え方はラテラルシンキングとも言われることがあります。大雑把でも瞬時に大体の答えを出す能力とも言えるので,社会では役立つ考え方ですが,入試算数では最後の検証部分をおろそかにしてしまうと,ただの思い込みとなり評価に値しません(点数ももらえません)。実際ポジティヴで算数が得意なお子さんに多いタイプですが,先生からはそこそこ叱られることも多いです。雑になりやすいことと,再現性が低いことが原因です。
Bはコツコツ亀さんタイプです。ロジカルシンキングとも言われるアプローチです。日本の教育環境ではこちらが高く評価されることが多いですが,時間がかかっても安定的にそこそこの状態まで上がることができるのでその要因かと思われます。受験算数では,時間との兼ね合いや,イレギュラーへの対応力をある程度強化しておかないといけませんが,その点をクリアできると安定する強みがあります。そして,あまりに小さくまとまってしまうと最難関受験へ向けての学習としては課題点も出てきます。
再度記載しますが,あくまでタイプの違い(考え方のクセ・傾向)であり優劣ではありません。そして,このようなタイプの違いが何に起因するかはともかく,自分の思考のクセは理解しておく方が得策です。そしてどちらのタイプにせよ,正しい判断をするためには膨大な量の「経験」が必要です。そういった点で「地頭が良い」や「ひらめきがある」という単純な言葉を用いて,そのお子さんのこれまでの努力に基づく数多の経験を否定することはとても残念なことであると言えます。
学校ごとに入試問題には傾向やタイプがあるのは事実です。ですが,上述のAタイプの思考の生徒にとってもBタイプの思考にとっても,もっと言えば双方の思考をそこそこ使える生徒にとっても,大きく見れば入試問題に有利不利はありません。受験勉強は,相手を知り,自分を知りその武器を磨き,どうやって結果につなげていくのか…という公平な戦いです(戦う相手は自分自身です)。なりたい自分になるために,目指すべき居場所のために,日々の研鑽を怠らないようにしましょう。
地道な努力はある日突然結実します。その境地にたどり着いたとき,問題を見て「あっ!」と思える機会は確実に増えるはずです!