2018 御三家の哲学②

2018/9/20

エクタス国語科より桜蔭中


~桜蔭中の出題から~

亡くなった「ばあば」が、ちいさい人になってやってきた。少女は、「とつぜん、いなくなって…」と、ばあばを問い詰める。ばあばは、「かえちゃん(少女)だって、とつぜん、やってきたよお」と応じる。少女「へえ、とつぜん?」。祖母は、きっと、少女の成長と幸せを願っているに違いない。 (大久保雨咲「五月の庭で」)


 幻想的な場面設定のもとで、物語が展開します。亡くなった祖母が、花の中に身を隠せるほど小さくなって、少女のもとに現れたというのです。彼女にとって、突然、訪れた祖母の死は、大きな悲しみをもたらしました。だから、今、何事もなかったかのように、ちいさい人になって花房に腰掛け、遊び戯れる祖母の姿を見て、愛する肉親の死に対する真摯な悲嘆をあざ笑われているように感じ、いらだちを募らせたのかもしれません。そして、少女は、なぜ突然いなくなったのかと、祖母を問い詰めます。しかし、それに対し、祖母は、“かえちゃんも前日までいなかったのに、次の日には突然いたよ“と、当然の道理でかわします。少女は、何か新しい気づきがあったようで、驚き、感嘆してしまいました。

 

 私たちにとって、出生と死去は、突発的かつ偶発的に起こりうる現象であるという一面は、誰も否定できませんね。誰しもが、「とつぜん」この世に出現し、そして、「とつぜん」の退出を余儀なくされます。では、その中で私たちは、波間に漂う木の葉のごとく、ただ、運命の偶然性に身を委ねてさまよう以外にないのでしょうか?

 

~女子学院中の出題から~

震災の悲惨、兄弟の生まれ順による差別・不遇…しかし、「人には運命を踏んで立つ力があるものだ」(幸田露伴)。自分にはどうしようもないめぐりあわせも、希望と向上心をもって開拓すれば、きっと立派に改善できる! (青木奈緒「幸田家のことば」)

 

「運命を踏んで立つ力」とは、なんと力強く、希望に満ちあふれた言葉でしょうか。私たちは、自分の力ではすぐに改善することの難しい、多くの理不尽ともいうべき先天的条件に囲まれているといわざるをえません。時には、その自身の宿命を呪い、うめき、一歩も前に進めないこともあります。しかし、人間であるならば、勇気をもって頭を上げ、運命のどん底を踏みしめて、自分の意志と力で立ち上がり、未来を変える自由は許されているに違いないし、その権利は、誰人も奪うことはできない…というべきではないでしょうか?

 

気まぐれな運命に挑む力があるとするなら、自身の胸中に…大事なことに気づかせてくれた、本年の桜蔭中・女子学院中の出題でした。

関連記事related posts

エクタス国語科より

『指さし確認』を国語でも

「出発進行!」 電車の運転手さんが出発の際に指をさして発声していますね。 あれは乗客がいなくても行っている動作で、鉄道の場合は「指差喚呼(しさかんこ)」というそうです。 日本の鉄道が発祥のようで、ミスが何と6分の1に。 …

エクタス国語科より

受験生に必要なもの

コロナ禍がようやく収束に向かいつつあるかと思えば、時季外れのインフルエンザの流行…相変わらず、健康管理には注意しないといけない日々が続きます。特に小6生は、ラストスパートのこの時期に一週間も二週間も寝込むようなことは避け…

女子学院桜蔭中武蔵中開成中雙葉中麻布中

2019年 御三家入試問題より

雙葉中の出題から。  動物の生態については、思い込みや「常識」などの先入観にとらわれず、自分の目でありのままを直視することによって、新たに見えてくるものがある。(岩合光昭『生きもののおきて』による) 「頭のいい人」は、前…

新着記事latest posts

お知らせ

2026/11/5

エクタス算数科

【算数にひらめきは必要か?】

「うちの子はひらめきが足りないので算数の成績がいまいちだ」「基本問題はできるようになったが応用問題になるとひらめき不足を感じる」…どちらも比較的良く見聞きする事案です。果たして本当に算数に『ひらめき』は必要なのか?? に…

エクタス算数科

2026/11/4

お知らせピックアップ

【1/11開催】新小2・3特別体験会

エクタスでは、新小2・3(現小1・2)のお子さまを対象に、無料で授業体験できる『特別体験会』を実施します。最難関中学合格のために、「低学年の今しかできないこと」「低学年だからやるべきこと」を追求するエクタスの指導を体験い…

お知らせピックアップ

pagetop