『たかが知識、されど知識』

2017/3/17

エクタス国語科より

 

2017年度の中学入試が終わって、1ヶ月が経ちました。今年も様々な学校で特色ある出題がいくつか見られました。多くの学校は従来の出題形式を踏襲して同じような設問形式をとるのですが、筑駒・御三家という学校は別です。大枠こそ変わらなくても、聞かれる内容や答え方、出題ジャンルは年々変化しています。


受験生諸君は10年分の過去問を手にして、夏休み以降過去問演習に取り組むこととなりますが、10年分解いた限りではそう大きな変化は感じないでしょう。でも、さらに10年、20年…と過去に戻ると驚くような出題も目にします。


以前、開成中で「ひらがな」「カタカナ」の出題もあったことを書きました。さらに言えば、開成中も今では漢字以外は記述問題のみになりましたが、昔は記号・抜き出しばかりで記述なんてほとんど出題されなかった時期もあります。背景には、共通一次(現在の大学入試センター試験の前身)の存在がありました。当時、マークシート方式と言う出題形式が斬新だったため、難関大学受験を目指させる難関中学の入試問題も「選択式」にこだわる時期があったのです。


難関大学進学をメインに進路指導していく学校では大学入試の出題傾向が多かれ少なかれ入試問題に反映されてくるものです。現在は、難関国立大学は、センター試験の意味合いは「足切り」で、実質勝負は小論文。ですから、最難関中学の入試問題が記述問題偏重になるのも必然のことなのです。2020年以降、センター入試は廃止されますので、その影響は大学入試にとどまらず中学入試の問題にも反映されるとみて間違いないでしょう。


とは言え、大学入試の新制度が明確になるまではそう大きな変更もないでしょうが。


 


 先日、蛯名先生が読書について書かれました。同一人物の出典が10校を超えて出題されるのは極めて珍しいことです。出題されそうだから読みなさい、等と言う気は毛頭ありませんが、自身の読解力をより高めていくためにも読書の効用は絶大です。忙しいからこそ、うまく時間を使う…という意識で読書の時間を確保してください。


 


 今年は知識問題でも面白い出題がありました。たとえば、雙葉中の漢字の問題。普通、漢字の書き取りは短文(もしくは読解問題の長文)中のカタカナ部分を漢字に直す、という形式が多くとられます。が、雙葉中では「漢字の意味」を考えさせ、ふさわしい用法の言葉を選んだ上で漢字に直させる、という「2段階式」の出題でした。


 


例)過失…この「過」と同じ意味で同じ漢字を使う熟語は「タイカ」「ケイカ」のどちらですか?ふさわしい方を選び漢字に直しなさい。


 


このような形式です。漢字の中には訓が二つ以上あるものが少なくありません。訓が違う=意味も若干異なる、ということに気づかせる問題です。「白」という感じにも、色の「白」以外に意味があるのを皆さんはご存知でしょうか。


 


 また、武蔵中でも珍しくオーソドックスな知識問題がありました。体の一部を表す漢字を入れて慣用句を完成させる、という受験生にはおなじみの問題です。その中に、次のようなものがありました・


 


「…ちょっと(  )がすいたんで、来てみたんだ。十分くらいで、また会社にもどらなくちゃいけないんだが」


この(  )に入れるものとして、ア腹 イ肩 ウ手 エ足 オ拳 カ胸 キ頭 から選びなさい。


 


(  )がすいた、とあるとすぐに「腹がすいた」と思ってしまう人はいませんか?前後を読めば、「(  )がすいた」のは家に立ち寄った理由であり、さらに十分後には会社にもどらなくてはならない…ということがわかります。ご飯を食べたくて十分だけ立ち寄る、というのはいかにもおかしな話ですね。「手がすく」(少し時間が取れる)という慣用句を思い起こせないといけません。仕事は相変わらず忙しいが、ほんの少し時間が取れた、というわけです。選択肢の筆頭に「腹」を置いているのが、いかにもひっかけ問題のように思えます。(実際、武蔵中に合格した生徒でもここを間違えた人がいました。)


 


 他にも、開成中で敬語の誤用法を書かせる出題があったように、たかが知識問題…と侮れなくなってきています。最難関校における知識は単なる「記憶」ではなく本質の「理解」が必要です。日々の学習でも、軽く見すぎることのないよう、しっかり身につけてほしいものです。


 


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