社会科の時事問題について筑駒の出題から考える

2020/9/30

エクタス社会筑駒

小6受験生の皆さんは、志望校に向けた対策も本格的に始まり、社会科の過去問に取り組む機会も増えてきました。以前の入試問題を解いていると、いわゆる「時事問題」と呼ばれる出題に遭遇することもあると思います。その年の受験生にとっては、おさえておくべきニュースであり、時事問題として対策をしたはずなので、合格者はきちんと得点できたと思われても、何年も経てば「そんなの知るかよ!」となってしまう問題もあります。2020年度の小6として「解けなくても良い問題」なのか、「それでもなお解けなくてはならない問題」なのかは、担当の先生からきちんとアドバイスをもらうこととして、ここでは筑波大駒場中の過去の出題から、時事問題について考えてみます。

中学入試における時事問題には、一般的にみて次のようなタイプがあります。
(1)その年の重要なニュースについて、シンプルに知識・理解を問うタイプ
(2)重要なニュースを題材・切り口として、小学校の学習内容について出題するタイプ
(3)ニュースを題材にして、情報や資料の分析・比較をさせるタイプ

ここ10年間くらいの入試を見ていると、全体的な傾向として(1)より(2)の方が圧倒的に多くなっています。さらに、入学試験において思考力・記述力などを重視する学校では(3)が目立ちます。

さて、筑駒中の入試問題では時事問題がどのように扱われているのか見てみましょう。

2020(令和2)年度入試では、海洋プラスチック汚染・食品ロス・SDGsなどを話題として取り上げ、そこから地理分野や公民分野の学習内容について、その理解が問われています。つまり上記のタイプ(2)です。また、中国におけるウイグル族に対する弾圧や香港の民主化要求デモについては、ニュースそのものを知っているかどうかが問われたと言えますので、タイプ(1)に近いと言えます。
面白いものでは、「動画共有サービスでは、利用者が多くの動画を無料で閲覧できるにもかかわらず、サービスの運営が成り立っているのはなぜか」という問題がありました。日々の生活の中でも、その背景やしくみを知ろうとする姿勢や、いろいろなことを学び取っていく経験が試されているわけです。

2019(平成31・令和元)年度入試では、民法の改正によって成人年齢が引き下げられたことや、各地の自治体で広がっている同性パートナーシップ制度、史上初の米朝首脳会談、イギリスのEU離脱交渉など、日本国内や国際社会から非常に幅広く題材をとっています。どちらかといえばタイプ(1)に近い出題が多いですが、大問3のテーマが「国家が人びとを保護することができないときに、国際社会はどのように保護する責任を負うべきか」でしたから、国際連合の活動や世界各地の紛争、それに伴う難民問題などについて日ごろの学習理解も試されており、タイプ(2)の要素も含まれていると言えるでしょう。

今回、なぜ筑駒の問題を取り上げたかというと、先日、筑駒中のウェブサイトに「令和3年度 中学入学者選考における学力検査の出題範囲について」というお知らせが掲出され、新型コロナウイルス感染症対策の影響で小学校の臨時休校が長引いたことを受けて、各教科の出題範囲に変更があることが発表されたからです。社会科でも、小学校では6年生の後半に学習する「世界の中の日本」(教科書の出版元によって単元名は異なります)の部分を出題範囲から除外するとのことです。しかし、そのあとに「ただし、時事問題は出題します」とあるので、やはり重要なニュースについては、日本国内だけでなく国際的なものもおさえておく必要があるようです。

最後にもう一つ、生徒・保護者の皆さんからよくいただく質問に「時事問題というのは、いつ頃までのニュースをおさえておけば良いですか」というものがあります。かつては「夏くらいまで、遅くても9月までで大丈夫」などと言われていましたが、現在の入試では、その直前に大きな出来事があった場合には、明らかに入試問題を差し替えていることが分かる例もありますので、安易に「ここまでで大丈夫」とは考えないことです。各塾の重大ニュースは10~11月頃に出版されますが、間違ってもそこに載っているものだけおさえれば良い、と考えないことです。

入試当日の朝、日本から遠く離れたところで何か大きな災害が起きたり、戦争が始まったりしたとします。そのときに「オレには関係ないからどうでもいいや」と考えるような受験生にはなってほしくないと思います。

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