咲かない花とは?

2016/10/18

エクタス理科より

 

10月のニュースの中に次のような記事がありました。


 


鹿児島県三島村の黒島で咲かない花をもつ新種のランを発見し、「クロシマヤツシロラン」と命名した。


 


ランは単子葉植物の仲間で南極大陸以外のすべての大陸に自生していて、10000種類以上も発見されています。その多くが独特で、きれいな花を咲かせることから、人の手によって観賞用の植物としてもたくさん栽培されています。おそらく皆さんもどこかで気づかないうちに見ているのではないでしょうか。特に「胡蝶蘭」などはとても有名ですからね。


さて、とてもきれいな花を咲かせる種類が多いランなのに、なぜ咲かない花をもつランが生育しているのでしょうか?


今回発見された「クロシマヤツシロラン」は、日光が届かない深い林の中で見つかりました。日光が届かない、ということは植物が生きていくために行う光合成ができない、ということです。そこで「クロシマヤツシロラン」は光合成をやめて、菌類に寄生をして養分を取り込むことを選び、進化してきたと考えられます。これだけでも生命の進化というものがいかにすごいことであるかわかりますが、さらに「クロシマヤツシロラン」は、その進化の過程で花も変化させてきたのだろう、と研究者は考えています。


日光が届かないほどの環境ですから、当然花粉を運ぶ昆虫もほとんどいないような環境であると考えられます。そんな環境の中で昆虫を呼ぶためにきれいな花を咲かせても無駄であると考えられますね。お客さんが一人もいない無人島でお店を開くのは皆さんだって嫌ですよね。それと同じことです。「クロシマヤツシロラン」は、昆虫がいないのであれば花を咲かせるのをやめる、ということを選んだのでしょう。もちろん種子ができないと子孫が残せませんから、花は開花しないだけで、つぼみのまま自家受粉をして種子をつくります。生き残れる可能性がより大きくなるように実に合理的な進化を遂げてきたわけです。


 皆さんは受験勉強を通して、さまざまな自然科学の考え方や知識を身につけています。その1つ1つはどれも正しいことですが、同時に例外というものがあることを知っておいて下さい。特に生物分野にはたくさんの例外があります。そして、その1つ1つには合理的な理由が隠れているものがたくさんあります。その隠れた理由を考えるのも理科の勉強の楽しみの1つと言えるでしょう。そして、例外というものは、入試問題を作る学校の先生たちにとっても大好物です。例外がたくさんあっていやだな、と思うのではなく、その理由を探してみよう、という前向きな気持ちで、ぜひ日々の学習に取り組んでください。それが、理科が得意になる近道であり、合格へとつながる道でもあります。


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