今年の武蔵中の入試で次のような問題が出ていました。
次の食品のうち、微生物の働きを利用していないものはどれですか、というものです。
〔 納豆、豆腐、みそ、ワイン、ヨーグルト、ゼリー、パン、もち、しょうゆ、甘酒 〕
どうですか?エクタスに通っている皆さんならば、小4の理科で発酵食品について学んでいるので、この問題は簡単に答えられるのではないでしょうか。でも初めて授業で発酵食品の問題に挑戦したときのことを思い出してみてください。初めは必ずしも簡単ではなかったと思います。特に「豆腐」についてはまちがえてしまった人もけっこういたのではないでしょうか。名前に「腐る」という字が入っているので、知識が無いと微生物が関係しているように思ってしまいますね。でも、豆腐は豆乳に「にがり」を加えることで固める化学反応で、微生物は関係していません。豆腐の名前の由来は中国語にあるので、興味がある人は調べてみるのもいいでしょう。
さてせっかくの機会ですから、もう少し発酵についてくわしく学んでみましょう。まずは復習です、発酵とはどのようなことでしたか?
答えは、微生物の働きによって食物などが人間にとって良いものに変わることでしたね。逆に微生物によって有害なものに変わることを腐敗といいますね。小4の授業では代表的な発酵食品をざっと学びましたが、実は発酵を行う微生物は大きく分けて3つあります。「カビ」「酵母」「細菌」です。
まずは「カビ」について。カビといえば、ブルーチーズで知られている青カビなどはとても有名ですね。さらに味噌や醤油をつくる麹もカビのなかまです。日本の麹菌は「コウジカビ」と言い、日本の「国菌」に認定されているそうですよ。麹によって作られる醤油、味噌、みりんなどは、どれも和食を作るのに欠かすことのできない大切な調味料です。麹がいかに日本にとって大切なカビかわかりますね。
次に「酵母」について。酵母は、糖をアルコールと二酸化炭素に分解してくれます。つまり大人が大好きな、ビールやワイン、日本酒などのお酒を作るためには酵母が必ず必要になります。また、パンをふくらませるイーストも酵母のなかまです。分解によって発生する二酸化炭素によってパンがふくらむんですね。パンが好きな人も多いと思いますが、パンがやわらかくておいしいのは酵母のおかげです。
最後に「細菌」ですが、納豆菌や乳酸菌などはよく知られていますね。納豆菌は名前の通り納豆を作るのに欠かすことができませんし、乳酸菌はヨーグルトなどを作るときに必要です。実にさまざまな食品を作るために細菌は大活躍しています。
このように入試問題1つをとっても多くの学びがあります。学びとはさまざまなことに興味関心を持つことが1つの出発点になります。こういう題材が入試問題に出るということは、入試問題を作る学校の先生方も、身のまわりの科学的なことに目を向けて欲しい、と考えているからなのでしょう。受験勉強の合間の休憩時間に、少し気になったことを自分で調べてみると、何か大きな学びにつながるかもしれません。