2022年桜蔭中 国語の入試問題を紹介します。

2022/6/2

エクタス国語科より桜蔭中

試験時間50分 満点100点 
説明文 6問 物語文6問 
解答形式 字数制限なし

大問1説明文 出典は森田真生『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』(2021年9月初版)から。
食べるという行為を緻密にとらえようとすると、どんな風景が浮かびあがるでしょうか。食べることは、自分の体の一部が、食べられたものに置き換わっている過程です。私たちは食べるとき、もっと愉快で壮大なことをしているのかもしれません。筆者は食卓に並ぶ食材を生み出してきたあらゆるものの生態学的な関連を想像します。鯛が泳ぐ海、その流れを生み出した大気、1億5000万キロ離れた太陽の光を浴びて、豊かに育ってきたスナップえんどう。それを育てた土の微生物。
春になり、土地にうずたかく積もった腐葉土を、近隣の人達が子どもを連れてもらいにきます。現代では、自然からの純粋な贈り物を、お金を払わなければ買えないことしてしまいましたが、子どもたちにはまず、「もらう」こと、「拾う」ことをたくさん経験してほしい。知識や学問も潤沢な富として、もっと自由に拾ったりもらったりできるものであっていいはず、と筆者は論じます。

問5では、筆者は「食べる」ことをなぜ「愉快で、壮大だ」と述べているか説明します。
問6では、筆者は子どもたちがどのように成長していくと考えているか、現代の社会の在り方をふまえて説明します。

食事は、何億年ものあいだ別々の進化を続けた生命と、それを育んだ環境の歴史が自分の一部となる行為であり、宇宙と生命の歴史の表現とも呼べる豊かな行為で、感動と喜びを覚えるものです。しかし、現代社会では、潤沢な自然の富は商品化され、お金を払わなければ手に入れることができず、そこには自然から与えられる感動も自由もありません。筆者は腐葉土をもらいにきた子どもたちを見て、自然からもらい、拾って生きるという、人間の原初的な経験をすることで、自然の恵みに対する驚きと感謝を実感し、物を分かち合い、贈りあい、助け合って生きることのできる人間に成長いってほしいと考えているのですね。食べるという行為から、自然との共生、教育を論じた説明文でした。

大問2物語文 出典は高柳克弘『そらのことばが降ってくる 保健室の俳句会』(2021年9月初版)から。
中学生のソラは、同級生のいじめをきっかけに教室に行けなくなり、保健室登校しています。ある日、保健室でハセオという生徒に出会います。ハセオはいつも俳句を作っていて、 保健の北村先生に俳句を教えています。保健室の窓の向こうには背の高いヒマワリが大きな金色の花を誇っています。今日のお題はヒマワリ。まずは経験者のハセオから。
  向日葵の種みたいだなそのホクロ
その句が詠まれたとたん、保健室の空気がさっと変わります。ハセオの句は、明らかにソラの顔のホクロを詠んだものでありました。ソラはそのまま立ち上がって保健室を出て行ってしまいます。3日後、家でベッドにもぐっていたソラのもとに、ハセオが謝罪に訪れます。俳句について熱く語るハセオ。コイツ、どれだけ俳句好きなんだよ。「もう、いいよ」ソラにとって、出るのを待っていたという言葉でした。ソラにとってハセオはもう友だちで、俳句好きなハセオが、悪意で俳句を作る人ではないとわかっていました。ハセオに手を握られて、手を開くと、そこにはヒマワリの種がひとつ。「捨ててもいいって!」と照れくさそうなハセオ。ソラはかぶりをふって、ぐっと手の内の種を握りしめます。「取っておく」

問5では、「出るのを待っていた」という表現をふまえて、ここでのソラの気持ちを説明します。問6では「取っておく」と言った時のソラの気持ちを説明します。

ソラはいじめられた経験から、自分が悪く思われているのではないかと思い、怒りを感じていましたが、俳句が大好きなハセオがからかい、馬鹿にするために俳句を作るはずがないとわかっていたので、ハセオの謝罪の前に許す気持ちになっていました。謝罪しているうちに俳句について一生懸命語るハセオが、自分にとってもう友達だと思っていることに気づき、うれしく思ってもいます。最後にヒマワリの種を取っておこうとしたことから、ソラは自分に信頼できる友達ができていたことに気づき、このヒマワリの種を大切にすることで、友情を大切に育もうと思い、これからの生活を楽しみにしていることがわかりますね。俳句がつなぐソラとハセオの青春友情物語でした。

以上、お読みいただきありがとうございました。今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)

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