2020 御三家の哲学②

2020/5/20

エクタス国語科より麻布中

麻布中の出題から。

活け花を習う高校生、紗英の学び。
皆から愛称で呼ばれ、屈託のない笑顔をふりまく「さえこ」というキャラではなく、本当の自分らしさを求める。しかし、たとえば、活け花という一つの分野にあっても、いきなりオリジナリティーを発揮することはできず、先人たちの知恵が凝縮された「型」を身につけた先に、ようやく個性を発揮する自由は訪れることを、母や祖母から教わった。
中学のとき同級生だった、ともに活け花を習う朝倉くんは、輝かしい存在だ。しかし、彼の意識は、私を守ってくれる姉に向いてしまっている。私は、今は「まだまだ」だ。でも、型の習得に励み、やがてそこを破り、いつかきっと「私だけの花」を活けてみせる。そこに示す真の魅力で、彼を振り向かせてみよう!
(宮下奈都『まだまだ、』による)

ここに登場する人物は、みなさんより何歳か先輩にあたる高校生です。大人への階段を駆け上がっている真っ最中ですから、ちょうど、「自分らしさ」に迷い、もがき、葛藤と呻吟を繰り返しながら、個性を練り上げている頃でしょう。みなさんも、やがて通る道に違いありません。

ここでは、自己実現に向けての大きなヒントが示唆されています。つまり、確かなアイデンティティーを形成するためには、どんな分野であっても、まず、先人たちによって定められた道を究めつくすことから始めねばならない、ということです。きっとそこには、厳しき鍛錬に伴う、多くの苦悩が待ち受けていることでしょう。

逆説的ですが、真の自由と自立は、多くの制約下における鍛えをくぐり抜けた果てに訪れるというべきなのかもしれません。訓練を受けるべきときに、自由奔放に過ごし、安逸をむさぼり、表面的な権利を振りかざしてばかりいては、やがて、行き詰まってしまうのかもしれません。

だから、今、みなさんにとって、「やりづらい」「生きづらい」「面倒くさい」ことが多くあるということは、みなさんのなかに、それを突破して得られるであろう素晴らしい可能性が満ち溢れているということになるのではないでしょうか?足枷(あしかせ)、即、自由!また一つ、大事な気づきを与えてくれた今年度の麻布中の出題でした。

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