季節感

2022/10/20

エクタス国語科より

10月も半ばになりました。秋の深まりを感じる季節です。
芸術の秋・食欲の秋・スポーツの秋・文化の秋…
秋はいろいろな修飾語をつけて呼ばれることが多いですね。皆さんはいくつ思いつきますか?

最近、よく言われることの一つに「季節感の喪失」があります。
一昔前なら、この季節になると夕飯時になればあちこちの家々からサンマを焼く匂いが漂ってきて、子どもながらに「サンマの季節か…」などと思ったものです。
しかし、最近は文明の進歩とともに生活が便利になり、ともすると「今の季節にこんなものが食べられるの…?」といったことも多くなりました。
真夏の暑い時期に店頭でみかんが売られていても、違和感を感じない人が増えているようです。私などは、「こたつにみかん」と感じる方ですが。

ただ、世間ではそうであっても受験生はそれではいけません。「季節」と入試問題に何か関係があるの?と質問されれば、答えは「あります」。
文章読解で言えば、随筆文などは季節に応じた内容で書かれたものがとてもたくさんあります。読者も当然わかるだろう、と書かれた内容である以上、季節感を全く持たない受験生であれば解く以前にお手上げですよね。

また、季節そのものが取り込まれるのが俳句です。
ご存知のように、俳句には季語を入れるというのが原則です。江戸時代以降、俳句をたしなむ人のために『歳時記』という書物が作られるようになり、今でも刊行されています。
時代が進めば進むほど季語も増えていくので、年々『歳時記』も更新されるようです。
受験生であれば季語がどういうきまりで決められているのか、知っていなくてはいけません。

ここで問題です。次のそれぞれの季語の季節を答えてください。

①雪崩(なだれ)   ②七夕   ③麦の秋

季語は、1年を四季、つまり四つに分けて次のように決められています。1・2・3月が春、4・5・6月が夏、7・8・9月が秋、10・11・12月が冬です。ただし、ここでの暦はあくまでも旧暦ですから、現在に置き換えるとほぼ1ヶ月後ろにずれます。つまり、2・3・4月が春、5・6・7月が夏、8・9・10月が秋、11・12・1月は冬、ということになります。
(厳密には、季語には四季以外に「新年」という区分もあります。)

普通に考えてみてください。新暦で考えてみても、2月が春、8月は秋…こう言われると「え?おかしくない?」と思う人も多いのではないでしょうか。
昔の人の季節感は、「暖かくなったから春」ではなく、「まだまだ寒いけど、かすかに暖かくなる気配が感じられる」時期を「春」としたのでしょう。
たとえば、①「雪崩」も雪がそんなに積もっているのならとても春真っ盛りとは言えないものの、雪が解けているということは間違いなく暖かくなっている…そう考えて春の季語としたわけです。
こんなところにも、季語、つまり日本人の季節感が残されているのです。
②七夕は言うまでもなく七月七日の年中行事です。ただし、旧暦ですから七月は秋となります。現在でも日本最大の七夕祭りが仙台で開かれるのは八月です。
③麦の秋ですが、秋と書いてはあるものの、正解は夏です。昔の人にとって、秋は「実りの秋」つまり収穫を表します。麦の収穫時期はおおむね旧暦五~六月でなので、麦にとっての収穫時期、という意味で夏の季語とされたようです。
似たもので、小春(日和)…冬の季語などもあります。

関西の灘中学では、季語の出題が過去に多く見られます。季節を答えさせたり、順番に並べ替えさせたり、多い時は12個の季語を月の順番に並べ替えさせる問題もありました。(正月…一月、七夕…七月、もちつき…十二月等々)
みなさんも、たまに夕飯の買い物に出かけるお母さんと一緒にスーパーをのぞいてみて、季節を感じてみてはいかがでしょうか。

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